人と人との関係には「風のように柔らかく入り込む人」と「火のように明るく照らす人」がいます。
易で言えば、それが「風(巽)」と「火(離)」の組み合わせ。
どちらも知性や感受性に優れ、流れを読むセンスを持ちながらも、アプローチの仕方が違います。
今回はこの「巽と離」の相性を通して、柔軟さと情熱がどう調和するのかを見ていきましょう。
巽と離の相性と風火家人、火風鼎の解説
易では乾・兌・離・震・巽・坎・艮・坤の八卦の組み合わせで卦を立てて占いを行います。
八卦は擬人化されているのでその人の性質がわかると、より相性をよりイメージしやすくなります。
さらに、卦の構造の上卦と下卦の違いも、この卦が良いものか悪いものかがわかってくるのです。
巽と離の相性は?
巽は「風」の象で、そよぐように相手に入り込み、状況を読む知恵と柔軟性を持っています。
自分の意見を押しつけず、相手の考えや空気を感じ取って行動できるタイプです。
しかし、その柔らかさが行きすぎると優柔不断になりやすく、「どちらつかず」な態度を取ることも。
巽の本質は“流れに乗ること”にあり、調和と説得の力を発揮します。

離は「火」の象で、明るく知性的、そして情熱的。
直感力が鋭く、理想や美しさを求める気持ちが強いタイプです。
人を照らすような存在でありながら、自らも人からの承認や共感を求める傾向があります。
ただし、光が強い分だけ陰影も濃く、心が不安定になると孤独を感じやすい面もあります。

風(巽)が火(離)をあおるように、この2人の関係は刺激的で創造的な組み合わせです。
巽のやわらかい言葉と洞察が離の情熱を引き出し、離の明るさが巽を勇気づけます。
知的な会話や感性の共有においては抜群の相性ですが、バランスが崩れると「風が強すぎて火が暴れる」ような衝突も。
巽が冷静さを保ち、離が相手の立場を思いやることで、長く続く理想的な関係になります。
互いに「理想を現実にする力」を持つ、発展的でクリエイティブなコンビです。
上卦ー風(巽)、下卦ー火(離) 風火家人とは?


風火家人は36地火明夷の次の37番目の卦であり、上卦ー巽☴✕下卦ー離☲の4陽2陰となっています。
互卦は火水未済、綜卦は火沢睽、裏卦は雷水解です。
この卦は女性が家庭を守るという理想の家庭を示しています。
女が家を守ると言う考え方は廃れつつありますが、各人が役割を果たすことを示しているのです。
卦辞の原文
家人、利女貞。
卦辞の翻訳
家人(家庭や身近な人々)は、女性の立場を正しく守ることで吉。
家庭内の秩序を保ち、家族や身近な人との関係を丁寧に扱うことが重要。
風火家人の爻辞
初九:閑有家。悔亡。
意味:静かに家を整える。悔いなし。
之卦:風山漸
六二:无攸遂。在中饋。貞吉。
意味:無理に物事を進めず、家庭内で食事や奉仕に徹する。正しく行えば吉。
之卦:風天小畜
九三:家人嗃嗃、悔厲吉。婦子嘻嘻、終吝。
意味:家庭での口論や緊張。悔いはあるが正しければ吉。妻子は喜ぶが、最終的に慎重さが必要。
之卦:風沢中孚
六四:富家。大吉。
意味:家が豊かで安定。非常に吉。
之卦:天火同人
九五:王假有家。勿恤、吉。
意味:君主や上位者が家を任せる。心配無用で吉。
之卦:山火賁
上九:有孚、威如、終吉。
意味:誠実さと威厳を持つことで、最終的に吉。
之卦:水火既済
上卦ー火(離)、下卦ー風(巽) 火風鼎とは?


火風鼎は49沢火革の次の50番目の卦であり、上卦ー巽☴✕下卦ー離☲の4陽2陰となっています。
互卦は沢天夬、綜卦は沢火革、裏卦は水雷屯です。
この卦の鼎とは鍋に火にかける鼎のことであり、天・地・人や心・技・体の三位一体を表しています。
三脚は安定の象徴であり、秩序を保つことを示しています。
卦辞の原文
鼎、元吉。亨。
卦辞の翻訳
鼎(調理器具や国家の象)は、正しく用いれば大吉。
物事の基盤や重要な役割を安定させ、秩序を保つことで成功する。
火風鼎の爻辞
初六:鼎顛趾。利出否。得妾以其子。无咎。
意味:鼎の足が倒れるように不安定だが、正しく処理すれば問題なし。妾を得てその子を得る。
之卦:火天大有
九二:鼎有実。我仇有疾。不我能即。吉。
意味:鼎に実がある。敵に不調あれど、自分は即座に行動できずとも吉。
之卦:火山旅
九三:鼎耳革、其行塞。雉膏不食。方雨虧悔。終吉。
意味:鼎の耳が革で塞がれるように行動に障害。獲物は食べられず、後悔もあるが、最終的に吉。
之卦:火水未済
九四:鼎折足、覆公餗。其形渥。凶。
意味:鼎の足が折れ、料理をひっくり返すように事態が不安定。形も悪く凶。
之卦:山風蠱
六五:鼎黄耳金鉉。利貞。
意味:鼎が黄色の耳に金の鈕を持つように、慎重さを保てば吉。
之卦:天風姤
上九:鼎玉鉉。大吉。无不利。
意味:鼎に玉の鈕が付くように、完全に安定し大吉。損なうものなし。
之卦:雷風恒
風(巽)と火(離)の相性と風火家人、火風鼎の解説のまとめ
今回は、風(巽)✕火(離)の相性と、この組み合わせの卦である風火家人と火風鼎の解説をしました。
周易が難しいところは64卦の卦辞と爻辞は原文が漢文であり、翻訳にも諸説があって、それが難易度を上げています。
また、実際に占ってみて結果が出たあとで卦辞と爻辞を「これどうやって当てはめるの?」って困る場面が多いですよね。
卦辞と爻辞を丸暗記すること自体あまり意味がなくて、構成している八卦の相性や動きをイメージすることで、吉凶をより直感的に判断しやすくなると思います。


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