今回は八卦の組み合わせの中でも、沢(兌)と水(坎)の相性を見ていきます。
この組み合わせは、喜びや交流を重んじる兌と、深い洞察や慎重さを持つ坎が出会うことで、内面の安定と外界との調和をどう生み出すかがポイントになります。
易経の卦でいうと、沢水困(たくすいこん)や水沢節(すいたくせつ)が該当します。これらの卦を通して、人間関係や状況判断の指針を読み解いていきましょう。
兌と坎の相性と沢水困、水沢節の解説
兌は「喜び」「満ち足りた交流」「和やかさ」を象徴する卦です。
コミュニケーションや人間関係を円滑に進める力があり、集団の中で調和を生みやすいのが特徴です。
ただし、楽しさや甘さに流れすぎると、軽率や表面的な関係になりやすい面もあります。

坎は「危険」「深い洞察」「試練」を象徴する卦です。
水のように深く柔軟でありつつも、流れに飲まれると危険を伴うため、慎重さと計画性が必要です。
感情や状況の波を読む力に優れ、困難な状況でも冷静さを保てるのが強みです。

兌の明るさや社交性と、坎の深い洞察力や慎重さは、一見すると正反対の性質ですが、組み合わせることで楽しさと安全性のバランスを作れます。
兌が前向きな雰囲気や人間関係を活性化させ、坎がその流れを引き締めて危険や問題を回避する役割を果たすというイメージです。
この相性は、人間関係や仕事のプロジェクトにおいて、楽しい雰囲気の中にも慎重な視点を取り入れることの重要性を示唆しています。
上卦ー沢(兌)、下卦ー水(坎) 沢水困とは?


沢水困は46地風升の次の47番目の卦であり、上卦ー兌☱✕下卦ー坎☵の三陽三陰となっています。
互卦は風火家人、綜卦は水風井、裏卦は山火賁です。
この卦は沢(兌)から水(坎)が流出が止まらずに困ることを示しています。
四大難卦(他に水雷屯、坎為水、水山蹇)の一つであり、出るとちょっとイヤな感じがあります。
しかし、これを乗り越えると好転することで、思ったほど悪いものではありません。
卦辞の原文
困、亨。貞。大人吉无咎。有言不信。
卦辞の翻訳
困(困難)は亨(通じる)。貞(正しくあれば吉)。大人は吉で咎なし。言葉に不誠実があれば信頼されず。
困難な状況でも、正直さと誠意を持てば道は開けるが、言動の不一致には注意。
沢水困の爻辞
初六:臀困于株木。入于幽谷、三歳不覿。
意味:木に尻を挟まれて困る。深い谷に入り、三年見えず。
之卦:兌為沢
九二:困于酒食。朱紱方来。利用亨祀。征凶。无咎。
意味:酒食に困る。赤い帯がやってくる。祭祀に用いれば通じる。征戦には凶。咎なし。
之卦:沢地萃
六三:困于石、據于蒺藜。入于其宮、不見其妻。凶。
意味:石に困り、茨に足を取られる。家に入るも妻に会えず。凶。
之卦:沢風大過
九四:来徐徐。困于金車。吝有終。
意味:徐々にやってくる。金の車に困る。困難があるが、最後には慎むことで吉。
之卦:坎為水
九五:劓刖、困于赤絨。乃徐有説。利用祭祀。
意味:鼻を削ぎ、足を切られ、赤い絨毯に困る。しかし徐々に和らぐ。祭祀に用いれば吉。
之卦:雷水解
上六:困于葛藟于臲卼。曰動悔。有悔征吉。
意味:葛の蔓に絡まり困る。動くと悔いあり。悔いはあるが進めば吉。
之卦:天水訟
上卦ー水(坎)、下卦ー沢(兌) 水沢節とは?


水沢節は59風水渙の次の60番目の卦であり、上卦ー坎☵✕下卦ー兌☱の三陽三陰となっています。
互卦は山雷頤、綜卦は風水渙、裏卦は火山旅です。
この卦の節とは節度や節操といった区切りを決めて守る姿勢を示しています。
とはいえ、適度な節度であり苦節は戒めるという過ぎたるは及ばざるが如しとなっています。
卦辞の原文
節、亨。苦節不可貞。
卦辞の翻訳
節(節度)は亨(通じる)。苦節(過度な制約)は正しくあっても吉とならない。
物事や行動には適度な制限が必要だが、行き過ぎると逆効果となる。
水沢節の爻辞
初九:不出戸庭。无咎。
意味:門や庭を出ない。咎なし。
之卦:坎為水
九二:不出門庭。凶。
意味:門を出ない。凶。(行動が制限されすぎると災い)
之卦:水雷屯
六三:不節若、則嗟若。无咎。
意味:節度を守らなければ、ため息が出る。咎なし。
之卦:水天需
六四:安節。亨。
意味:節度を安定させる。通じる。
之卦:兌為沢
九五:甘節。吉。往有尚。
意味:心地よい節度。吉。行動すれば成果あり。
之卦:地沢臨
上六:苦節。貞凶。悔亡。
意味:苦しい節度。正しくても凶。悔いはないが警戒すべき。
之卦:風沢中孚
沢(兌)と水(坎)の相性と沢水困、水沢節の解説のまとめ
今回は、沢(兌)✕水(坎)の相性と、この組み合わせの卦である沢水困と水沢節の解説をしました。
周易が難しいところは64卦の卦辞と爻辞は原文が漢文であり、翻訳にも諸説があって、それが難易度を上げています。
また、実際に占ってみて結果が出たあとで卦辞と爻辞を「これどうやって当てはめるの?」って困る場面が多いですよね。
卦辞と爻辞を丸暗記すること自体あまり意味がなくて、構成している八卦の相性や動きをイメージすることで、吉凶をより直感的に判断しやすくなると思います。

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