人生や人間関係、仕事での判断を占うとき、八卦の組み合わせは強力なヒントになります。
今回は「天(乾)」と「火(離)」の組み合わせ、上卦・下卦の順序によって生まれる「天火同人(てんかどうじん)」と「火天大有(かてんたいゆう)」の二つの卦に注目します。
乾と離はどちらも積極性や意思の強さを象徴する卦です。
この組み合わせを読み解くことで、リーダーシップや情熱が交わったときにどのような相性や行動パターンが生まれるのか、また注意すべきポイントが見えてきます。
さらに、天火同人や火天大有の卦辞・爻辞を通して、意思決定や人間関係のベストなタイミング、行動の順序などを日常生活に活かすことができます。
乾と離の相性と天火同人、火天大有の解説
易では乾・兌・離・震・巽・坎・艮・坤の八卦の組み合わせで卦を立てて占いを行います。
八卦は擬人化されているのでその人の性質がわかると、より相性をよりイメージしやすくなります。
さらに、卦の構造の上卦と下卦の違いも、この卦が良いものか悪いものかがわかってくるのです。
乾と離の相性は?
天(乾)は五行で金に属し、擬人化すると父親や社長のようなリーダータイプにあたります。
行動力と決断力に優れ、物事を率先して進めることができるのが大きな長所です。
また、強い信念や責任感を持ち、周囲を引っ張る統率力も備えています。
一方で、プライドが高く独善的になりやすく、他人の意見を聞かず自分の考えを押し通す傾向がある点には注意が必要です。
その結果、部下や仲間に対して厳しくなりすぎたり、孤立してしまう場面も出やすくなります。
総じて、天(乾)は決断力や統率力を武器に活かす一方で、柔軟性や周囲への配慮を意識することが課題となるタイプだと言えます。

離(火)は五行で火に属し、擬人化すると次女や情熱的なリーダータイプにあたります。
美的センスが高くて、表現力や説得力に優れており、人を惹きつける魅力があります。
さらに、直感力や情熱を活かして周囲を鼓舞し、物事を活性化させる力も備えています。
一方で、感情の起伏が激しく、気分や気まぐれに左右されやすい傾向があります。
その結果、周囲と衝突したり、計画や判断がぶれることもあるため注意が必要です。
総じて、離(火)は情熱や表現力を武器に活かす一方で、冷静さや計画性、周囲への配慮を意識することが課題となるタイプだと言えます。

天(乾)は行動力と決断力を持つリーダータイプ、離(火)は情熱と表現力を持つ社交的タイプです。
この組み合わせでは、乾の統率力と離の明るさや情熱が交わることで、周囲を巻き込みながら大きな目標を進められる相性になります。
乾が方針や決断を示し、離がその方針を情熱と説得力で周囲に浸透させることで、チームの活力が最大化されます。
ただし、乾の独善的な面と離の気まぐれさがぶつかると、意見の食い違いや衝突が起こりやすい点には注意が必要です。
バランスを意識し、乾は離の柔軟性や人の気持ちを尊重し、離は乾の決断力をサポートする姿勢を取ることで、良好な関係を築けます。
そして、離が自己主張を強くしすぎると乾が圧迫感を感じ、乾が強く出すぎると離が自由を抑えられたと感じるため、相互理解が重要です。
上卦ー天(乾)、下卦ー火(離) 天火同人とは?
天火同人は12天地否の次の13番目の卦であり、上卦ー乾☰✕下卦ー離☲の5陽1陰となっています。
天地否でバラバラになった要素が一定の方向を揃えて、特定の方向へ向かう仕組みとなっています。
卦辞の原文
同人于野。亨。利渉大川。利君子貞。
卦辞の翻訳(直訳風)
野原で人々が集まる。同じ志を持つ者たちが結びつけば順調に進む。
大きな川を渡るような困難も、正しい行動を守る者には吉となる。
天火同人の爻辞
初九:同人于門。无咎。
意味:門前で人々と協力する。まだ小さな集まりだが、順調で問題なし。
六二:同人于宗。吝。
意味:宗族や組織内で人々と交わる。慎重さを欠くと後悔あり。
九三:伏戎于莽、升其高陵。三歳不興。
意味:山野に伏兵あり、高台を目指すが、3年は上手くいかない。焦らず準備を整えること。
九四:乗其墉、弗克攻。吉。
意味:城壁に登るが攻撃は失敗する。焦らず守れば吉。
九五:同人、先号咷而後笑。大師克相遇。
意味:まずは苦しみや嘆きがあるが、その後和解と喜びが訪れる。大きな指導者と協力できる。
上九:同人于郊。无悔。
意味:郊外で人々と結びつく。誠実さを持てば後悔なし。
上卦ー火(離)、下卦ー天(乾) 火天大有とは?
火天大有は13天火同人は12天地否の次の14番目の卦であり、上卦ー離☲✕下卦ー乾☰の5陽1陰となっています。
構造は天火同人の上下を入れ替えたもので、外部から多くのものを受け取って大きく有するものです。
卦辞の原文
大有、元亨。
卦辞の翻訳(直訳風)
大いに持つ。順調に進む。
正しい行いを守れば、大きな繁栄や成果が得られる。
火天大有の爻辞
初九:无交害。匪咎。艱則无咎。
意味:交わりが浅い段階では害なし。誠実に行えば問題なし。困難があっても咎はない。
九二:大車以載。有攸往。无咎。
意味:大きな車で荷を運ぶように慎重に行動する。進むべき道を選べば問題なし。
九三:公用亨于天子。小人弗克。
意味:公的な事柄で天子(上層)に功績を示すことができる。小人には従えない。
九四:匪其彭。无咎。
意味:無理や不正をせず進めば咎なし。
六五:厥孚交如。威如。吉。
意味:誠実さを持って人と交われば、威厳があり吉となる。
上九:自天祐之。吉无不利。
意味:天の助けを得て、吉。何事も不利なく進む。
天(乾)と火(離)の相性と天火同人、火天大有の解説のまとめ
今回は、天(乾))✕火(離)の相性と、この組み合わせの卦である地天泰と天地否の解説をしました。
周易が難しいところは64卦の卦辞と爻辞は原文が漢文であり、翻訳にも諸説があって、それが難易度を上げています。
また、実際に占ってみて結果が出たあとで卦辞と爻辞を「これどうやって当てはめるの?」って困る場面が多いですよね。
卦辞と爻辞を丸暗記すること自体あまり意味がなくて、構成している八卦の相性や動きをイメージすることで、吉凶をより直感的に判断しやすくなると思います。
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