地(坤)は大地のように包み込む母性や受容力を象徴し、沢(兌)は笑顔と喜びをもたらす社交性や柔らかさを持ちます。
この二つの卦が組み合わさるとき、周囲との関係に温かさや調和が生まれ、穏やかで人を惹きつける関係性を築くことができます。
ただし、沢(兌)の気まぐれさや甘えに対して、地(坤)が受け止めすぎてしまうとバランスが崩れることも。
互いに「支える」「喜びを分かち合う」姿勢を意識することで、柔らかくも安定した関係を保てます。
また、地(坤)と沢(兌)の組み合わせの、地沢臨(ちたくりん)と沢地萃(たくちすい)の解説をいたします。
坤と兌の相性と地沢臨、沢地萃の解説
易では乾・兌・離・震・巽・坎・艮・坤の八卦の組み合わせで卦を立てて占いを行います。
八卦は擬人化されているのでその人の性質がわかると、より相性をよりイメージしやすくなります。
さらに、卦の構造の上卦と下卦の違いも、この卦が良いものか悪いものかがわかってくるのです。
坤と兌の相性は?
坤(地)は五行で土に属し、擬人化すると「母親」や「支える大地の人」。
穏やかで包容力があり、周囲を受け入れながら着実に物事を進める安定感を持ちます。
柔軟で協調性が高く、人の話をよく聞き、縁の下の力持ちとして力を発揮するタイプです。
一方で、受け身になりすぎると自らの意見を失いやすく、流されてしまう傾向も。
また、変化を嫌ってチャンスを逃すこともあります。
総じて、坤は「安定と受容の象徴」。
人を育て、支える力を持ちながら、時に自分の意志をはっきり示すことが課題です。

兌(沢)は五行で金に属し、擬人化すると「笑顔の伝道者」や「話し上手な人」。
明るく社交的で、人に安心感や楽しさを与える魅力を持ちます。
喜びやユーモアを大切にし、場を和ませるのが得意。人の気持ちを読み取る感性にも優れています。
ただし、快楽や人間関係の心地よさに流されやすく、責任や現実的な課題を後回しにしてしまうことも。
また、気分屋な面が出ると、周囲が振り回されやすくなります。
総じて、沢(兌)は「楽しさと調和の象徴」。
笑顔と軽やかさで人を惹きつけつつ、節度や責任を意識することで信頼を得るタイプです。

地(坤)と沢(兌)の組み合わせは、「優しさ×笑顔」の相性。
地(坤)の包容力と沢(兌)の明るさが交わることで、周囲に安心感と親しみを与える関係になります。
地(坤)が沢(兌)の明るさを受け入れることで心がほぐれ、沢(兌)は地(坤)の穏やかさに守られるような安心を感じます。
しかし、沢(兌)が自由すぎると地(坤)が疲れてしまい、地(坤)が慎重すぎると沢(兌)が退屈を感じることも。
そのため、地(坤)は「笑顔を重く受け止めすぎない」こと、沢(兌)は「感謝を言葉にする」ことが大切です。
この二人がうまく噛み合えば、柔らかく安らぎのある関係を築ける相性です。
お互いの違いを「補い合うもの」として受け止めることが、長く続く秘訣になります。
上卦ー地(坤)、下卦ー沢(兌) 地沢臨とは?


地沢臨は18山風蠱の次の19番目の卦であり、上卦ー坤☷✕下卦ー兌☱の2陽4陰となっています。
互卦は地雷復、綜卦が風地観、裏卦が天雷无妄となっています。
「臨」とは、上から下を見渡すこと、接して導くことを意味します。
この卦は、さまざまな状況や人を俯瞰して、多様なものを絞り込み、焦点を定めることを示しています。
卦辞にある「八月に至れば凶あり」とは、季節の移ろいを象徴しています。
臨は冬至のころから陽気が少しずつ強まっていく卦ですが、八月(陰暦)になると陽が極まり、そこから再び陰が生じ始めます。
つまり、盛りのあとは衰えが始まるという、自然のリズムを表しているのです。
卦辞の原文
臨、元亨。利貞。至于八月有凶。
卦辞の翻訳
臨むこと、大いに通ず。
正しく臨めば損なし。八月に至れば凶あり。
地沢臨の爻辞(直訳風)
初九:咸臨。貞吉。
意味:心を込めて臨めば正しく、吉。
之卦:地水師
九二:咸臨。吉无不利。
意味:誠意を持って臨めば吉、損なし。
之卦:地雷復
六三:甘臨。无攸利。即憂之无咎。
意味:甘く臨めば利なし。心配すれば咎なし。
之卦:地天泰
六四:至臨。无咎。
意味:誠心誠意を尽くして臨めば咎なし。
之卦:雷沢帰妹
六五:知臨。大君之宜。吉。
意味:知恵を持って臨む。君主にふさわしく、吉。
之卦:水沢節
上六:敦臨。吉无咎。
意味:厚く誠実に臨む。吉であり、咎なし。
之卦:山沢損
上卦ー沢(兌)、下卦ー地(坤) 沢地萃とは?
沢地萃は44天風姤の次の45番目の卦であり、上卦ー兌☱✕下卦ー坤☷の2陽4陰となっています。
互卦が風山漸、綜卦が地風升、裏卦が山天大畜となっています。
萃とは集まるや寄せ集まる、群れることを示しています。
初爻から三爻までは下卦が地(坤)ということでまとまりがないですが、上卦の兌の4爻、五爻は秩序が保たれます。
しかし、上爻では雰囲気が一変します。
盛り上がりが最高潮に達した後、まるで祭りの後の静けさのように、集まりは自然と終息へと向かうのです。
卦辞の原文
萃、亨。王假有廟。利見大人。亨。利貞。用大牲吉。利有攸往。
卦辞の翻訳
集まること、通ず。
王、廟に至る。大人に会うに利あり。
大いに通ず。正しきを守れば吉。
大きな犠牲を用いれば吉。行くところありて利あり。
沢地萃の爻辞
初六:有孚不終。乃乱乃萃。若号、一握為笑。勿恤。往无咎。
意味:誠ありて終わらず。乱れ、また集まる。泣くようにして、一握りで笑いとなる。憂うるな。行けば咎なし。
之卦:沢雷隨
六二:引吉。无咎。孚乃利用禴。
意味:引けば吉。咎なし。誠あれば小さな祭りを用いて利あり。
之卦:沢水困
六三:萃如、嗟如。无攸利。往无咎。小吝。
意味:集まるが、嘆くことあり。利なし。行けば咎なし。小さな悔いあり。
之卦:沢山咸
九四:大吉。无咎。
意味:大いに吉。咎なし。
之卦:水地比
九五:萃有位。无咎。匪孚。元永貞。悔亡。
意味:集まることに位あり。咎なし。誠なくとも、正しきを長く守れば悔いなし。
之卦:雷地豫
上六:齎咨、涕洟。无咎。
意味:嘆き悲しみ、涙と鼻水を流す。咎なし。
之卦:天地否

コメント