八卦の組み合わせは、性格や行動の相性だけでなく、物事の進め方や運勢の流れをも示してくれます。
今回は、火(離)と地(坤)の相性に注目します。
炎のように明るく前向きな離と、大地のように包容力のある坤が組み合わさると、どのような関係やバランスが生まれるのかを見ていきましょう。
また、この組み合わせでもある火地晋(かちしん)と地火明夷(ちかめいい)の特徴も解説いたします。
離と坤の相性と火地晋、地火明夷の解説
易では乾・兌・離・震・巽・坎・艮・坤の八卦の組み合わせで卦を立てて占いを行います。
八卦は擬人化されているのでその人の性質がわかると、より相性をよりイメージしやすくなります。
さらに、卦の構造の上卦と下卦の違いも、この卦が良いものか悪いものかがわかってくるのです。
離と坤の相性は?
離は火の卦で、光や熱、明るさを象徴します。
目立つこと、表現すること、周囲に影響を与えることが得意で、明るく情熱的な性質を持ちます。
知恵や洞察力にも優れ、物事の本質を照らすことができます。
ただし、勢いだけに頼ると周囲と摩擦が生じやすく、慎重さも必要です。

坤は地の卦で、受容・包容・安定を象徴します。
柔軟性が高く、人を支え育てる力があります。
穏やかで従順な性質を持ち、信頼されやすく、周囲を安定させる存在となります。
ただし、自分から積極的に行動するより、受け身で調整する力が強い傾向があります。

離と坤が組み合わさると、明るさと包容力のバランスが取れる関係になります。
離の情熱や行動力は、坤の安定性によって支えられ、空回りせずに成果につながります。
坤は離の力に触発されて、自分からも動き出すきっかけを得ることができます。
結果として、主体的な行動(離)と受容・調整(坤)が相互に補完し合う相性です。
ただし、離が強すぎると坤が押され気味になり、坤が従順すぎると離の情熱が独り歩きすることもあるので、互いの力のバランスを意識することが大切です。
上卦ー火(離)、下卦ー地(坤) 火地晋とは?


火地晋は34雷天大壮の次の35番目の卦であり、上卦ー離☲✕下卦ー坤☷の2陽4陰となっています。
互卦は水山蹇、綜卦は地火明夷、裏卦は水天需です。
この卦の晋とは進と同じ意味であり、成長や前進、明るい展望を表しています。
これが出た場合は、仕事でも恋愛でも推し進めることで成果が出ます。
しかし、進むにしても努力や正しい行動を伴ってのことなのは注意が必要です。
卦辞の原文
晋、康侯用錫馬蕃庶、昼日三接。
卦辞の翻訳
晋(進展)は、康侯が馬を与えて人民を繁栄させ、昼日三度光を受けるように栄えることを示す。
つまり、努力や正しい行動によって物事が順調に進み、成果や繁栄が得られる時期。
火地晋の爻辞
初六:晋如、摧如。貞吉。罔孚、裕无咎。
意味:進展するがまだ力不足で砕けやすい状態。正しければ吉。信頼できなくとも大きな咎はない。
之卦:火雷噬嗑
六二:晋如、愁如。貞吉。受茲介福于其王母。
意味:進展に不安があるが、正しければ吉。王母から助けや福を受けることができる。
之卦:火水未済
六三:衆允。悔亡。
意味:多くの人が同意し、悔いなし。協力や支持が得られる。
之卦:火山旅
九四:晋如鼫鼠貞厲。
意味:進展するが小さな鼠のように細かく注意せよ。正しさを守れば災いなし。
之卦:山地剥
六五:悔亡。失得勿恤。往吉无不利。
意味:悔いなし。得失を気にせず進めば吉。行動は全般に利あり。
之卦:天地否
上九:晋其角。維用伐邑、厲吉无咎。貞吝。
意味:大きく前進する。城を攻めるのも吉。ただし正しさを欠くと困難も伴う。
之卦:雷地豫
上卦ー火(離)、下卦ー地(坤) 火地晋とは?


地火明夷は35火地試飲の次の36番目の卦であり、上卦ー坤☷✕下卦ー離☲の2陽4陰となっています。
互卦は雷水解、綜卦は火地晋、裏卦は天水訟です。
この卦は火が地中に埋もれていて、光が傷ついている状態です。
こちらは物事が滞っていて思うように進めない状態となっています。
これが出た時は立ち止まって、自分の能力や才をひけらかすことなく大人しくしていることを推奨しています。
卦辞の原文
明夷、利艱貞。
卦辞の翻訳
明夷(明が傷つく)は、困難に正しく耐えることが吉。
つまり、暗い状況や逆境の中で、正しい行動や態度を貫くことが重要な時期。
地火明夷の爻辞
初九:明夷、于飛垂其翼。君子于行、三日不食。有攸往、主人有言。
意味:明るさを失い、翼を垂れる。君子は行動に慎重で、三日食を絶つこともある。行動する際には主君の指示を仰ぐべき。
之卦:地山謙
六二:明夷、夷于左股。用拯馬壮、吉。
意味:左股に障害あり。馬を助けて対応すれば吉。小さな支援や準備で危機を乗り越える。
之卦:地天泰
九三:明夷、于南狩、得其大首。不可疾貞。
意味:南方で狩りを行い、大きな成果を得る。急いで正しさを求めると災いあり。
之卦:地雷復
六四:入于左腹、獲明夷之心、于出門庭。
意味:困難な中に入り、内面の心を得る。外に出る時は注意が必要。
之卦:雷火豊
六五:箕子之明夷。利貞。
意味:箕子のように正しさを守る。正しい行動が吉。(暴君から命を守るためアホを装う)
之卦:水火既済
上六:不明晦。初登于天、後入于地。
意味:明が隠れた状態。最初は高く昇るが、後に地に入る。成功の後には慎重さを忘れずに。(五爻の暴君は他ならぬ自分だった)
之卦:山火賁
火(離)と地(坤)の相性と天火同人、火天大有の解説のまとめ
今回は、火(離)✕地(坤)の相性と、この組み合わせの卦である火地晋と地火明夷の解説をしました。
周易が難しいところは64卦の卦辞と爻辞は原文が漢文であり、翻訳にも諸説があって、それが難易度を上げています。
また、実際に占ってみて結果が出たあとで卦辞と爻辞を「これどうやって当てはめるの?」って困る場面が多いですよね。
卦辞と爻辞を丸暗記すること自体あまり意味がなくて、構成している八卦の相性や動きをイメージすることで、吉凶をより直感的に判断しやすくなると思います。


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