人生や仕事、人間関係を占うとき、八卦の組み合わせは思わぬ気づきを与えてくれます。
今回は、下卦に水(坎)、上卦に地(坤)が入った「地水師」と「水地比」という二つの卦を通して、人間関係や協力、リーダーシップのあり方を見ていきます。
坤は大地のように受容的で安定を重んじるタイプ。
一方、坎は水のように感情や思考を内に秘め、洞察力と直感力に優れています。
地(坤)と水(坎)の組み合わせを見ることで、安定志向と慎重な洞察力がどう交わり、互いに補完し合えるのか、あるいは衝突する可能性があるのかが見えてきます。
さらに、「地水師」「水地比」の卦を通して、リーダーシップや協力関係、信頼の在り方を読み解くことで、日常の人間関係や意思決定の参考にすることができます。
坤と坎の相性と地水師、水地比の解説
易では乾・兌・離・震・巽・坎・艮・坤の八卦の組み合わせで卦を立てて占いを行います。
字だけではわかりにくい八卦は擬人化することで、相性をよりわかりやすくなります。
さらに、上卦と下卦の位置の違いも、この卦が良いものか悪いものかがわかってくるのです。
地(坤)と坎の相性は?
地(坤)は五行で土に属し、擬人化すると母親や妻、年長の女性を表します。
この要素は「受け入れる力」や「包み込む優しさ」を象徴しており、柔軟さと順応性に優れています。
良い面としては、どんな状況にも順応し、他者を支えながら物事を安定させる点です。
控えめで落ち着いた性格のため、人から信頼されやすく、縁の下の力持ちとして力を発揮します。
一方で、悪い面としては受け身になりすぎて自分の意見を出せず、流されてしまうことがあります。
また、慎重すぎるあまり行動が遅れたり、決断のタイミングを逃してしまうことも。
総じて、地(坤)は「柔らかさ」と「安定」を併せ持つタイプであり、
他者を包み込みながらも、自分の軸を保つことが課題となる性質と言えるでしょう。

水(坎)は五行で水に属し、擬人化すると中男を表します。
この要素は「知恵」や「流動性」を象徴し、冷静な判断力と柔軟な対応力を持っています。
良い面としては、どんな状況でも落ち着いて対処し、危機を回避する知恵を発揮できることです。
感情に流されず、観察力や洞察力に優れているため、裏方や分析的な役割で真価を発揮します。
一方で、悪い面としては慎重すぎて行動が遅れたり、恐れや不安からチャンスを逃してしまうことがあります。
また、考えすぎて感情を抑え込み、周囲に本音を伝えにくいところもあります。
総じて、水(坎)は「知恵と慎重さ」を兼ね備えたタイプであり、
困難の中でも冷静に道を探ることができる一方、必要な時には勇気をもって流れを変えることが課題となる性質です。

地(坤)と水(坎)の組み合わせは、「包み込み、受け止める地」と「流れ、しみ込む水」という関係にあり、
非常に深く内面的な相性を示しています。お互いが静かで慎重な性質を持ち、現実的で地に足のついた関係を築ける一方で、
停滞や不安を抱えやすい側面もあります。
坤は「受け入れる母性」や「安定」を象徴し、他者を支える包容力があります。
一方、坎は「知恵」や「感情の深み」を象徴し、物事の裏側を見抜く冷静さと感受性を持ちます。
この二つが組み合わさると、感情を共有しながら現実的に物事を進める関係となり、
地に足のついた安定したパートナーシップや協調関係を築きやすいのが特徴です。
しかし、どちらも受け身で慎重なため、相手の出方をうかがううちにタイミングを逃したり、お互いが不安を抱えたまま沈黙してしまうことがあります。
また、坎の内向的な不安を坤が過保護に包み込みすぎると、依存関係になってしまうことも。
良い関係を築くためには、坤が「静かに見守る支え」となり、坎が「冷静に流れを作る知恵」として動くことです。
そうすれば、坤は安定を保ちながらも滞ることなく、坎は不安を抱えずに前へと進む流れを得られるでしょう。
つまり、地(坤)と水(坎)は「受け止める力」と「流れを生む知恵」が調和する、
静かで深みのある相性――内省と信頼によって支え合う関係と言えます。
上卦ー地(坤)、下卦ー水(坎) 地水師とは?
地水師は06天水訟から続く07番目の卦であり、上卦ー地(坤)☷✕下卦ー坎☵の組み合わせです。
上に地があり下が水ということで動きはあまりありません。
師とは、大きな戦闘単位である師団の師となっていて、戦争にありそうですが現在は組織の在り方を示しています。
また師には人、金、物、情報が集まっていて、それを保持する性質を持っています。
卦辞の原文
師、貞。丈人吉。无咎。
卦辞の直訳
軍を動かすには正しさを守ることが大事。経験豊かな長者が指導すれば吉であり、咎はない。秩序を守り、慎重に進めることが成功の鍵となる。
地水師の爻辞
初六:師出以律。否臧凶。
意味:軍を規律に従って出す。もし規律を守らなければ凶。
六二:在師中。吉。无咎。王三錫命。
意味:軍の中心にいる。吉。咎なし。王が三度の褒美を与える。
六三:師或輿尸。凶。
意味:軍に死者が出ることがある。凶。
六四:師左次。无咎。
意味:軍を左側に配置する。咎なし。
六五:田有禽、利執言。无咎。長子帥師、弟子輿尸。貞凶。
意味:田に獲物あり。発言を守れば咎なし。長子が軍を率い、弟子は死者を運ぶ。正しさを守らねば凶。
上六:大君有命。開国承家。小人勿用。
意味:大君が命を出す。国を開き家を承ける。小人は用いてはいけない。
上卦ー水(坎)、下卦ー地(坤) 水地比とは?
水地比は07地水師の次の08番目の卦であり、上卦ー水(坎)☵✕下卦ー地(坤)☷の組み合わせです。
こちらは地水師と構造が逆になっていて、下の地に上から水が降りてきて大地を潤しています。
比とは結びつくとか寄り添うといった意味であり、同じような性質のものがくっつき合っています。
爻が上がるにつれてどんどん集まってくるのですが、上爻になると集まり過ぎて収拾がつかなくなってきます。
卦辞の原文
比、吉。原筮、元永貞、无咎。不寧方来。後夫凶。
卦辞の直訳
人と結びつくことは吉である。
原初の占いでは、永遠に正しさを守ることにより、咎はない。
不安定な方向からは危険が来る。後に夫に関わることは凶。
水地比の爻辞
初六:有孚比之、无咎。有孚盈缶、終来有它。吉。
意味:誠実に相手に寄り添えば咎なし。誠意が満ちると、最後には吉が訪れる。
六二:比之自内。貞吉。
意味:内側から結びつく。正しさを守れば吉。
六三:比之匪人。
意味:結びついた相手が信頼できない人である。注意が必要。
六四:外比之。貞吉。
意味:外から結びつく。正しさを守れば吉。
九五:顕比。王用三駆失前禽。邑人不誡。吉。
意味:結びつきが明確になる。王が三度駆使して前の獲物を失うが、村人は戒めない。吉。
上六:比之无首。凶。
意味:結びつきに指導者がいない。凶。
坤と坎との相性と地水師、水地比の解説のまとめ
今回は、山(艮)✕水(坎)の相性と、この組み合わせの卦である地水師と水地比の解説をしました。
周易での64卦の卦辞と爻辞は原文が漢文であり、翻訳にも諸説があるため、意味を一概に捉えるのは難しいですね。
また、占いをやっていて「これどうやって判断するの?」ということが何度も起こりました。
私が易占いに興味を持って勉強したところ、卦辞と爻辞を丸暗記することはあんまり意味がないと気が付きました。
八卦の相性や構成をイメージすることで、卦の吉凶や仕組みがわかるようになります。
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